出会い・1

パソコン。インターネット。そこが全ての始まり。


大学を卒業してすぐ、営業アシスタントの仕事に就いた。
納期確認、在庫チェック等、パソコンは日常業務に欠かせない。
触れるのは初めてではなかったし、興味はあった。
すぐに扱いには、慣れた方だと思う。

ネットに繋ぐ事に関しての制限は無かった。
もちろん、個人使用は就業時間外に限られていたけれど。
「チャット」という物に学生時代から憧れを抱いていた私。
とあるチャットの、昼休み常連となるのに時間はかからなかった。

風が冷たくなってきた、1998年11月半ば。
運命の出会い。

(この人、昼休み頃大抵いるんだけど…何か怖い感じ)
これが、彼の一番最初の印象だった。
誰にでも気軽に声かけてる…そういう人なのかな。
でも、嫌な感じじゃない。
むしろ、少し嬉しいかな。

今思えば、この時「文字だけの彼」に一目惚れしたんだと思う。

笑わないで欲しい。
毎日毎日、昼休みがどんなに待ち遠しかったか。
あれほど食べるのが遅い私が、せっせとお弁当を食べてパソコンの前に座る。
少しでも長く彼と「会う」時間を作るために。

当然、彼が来ない日だってある。
(どうしたんだろう)
親しくなった人たちと言葉を交わしながら、一方で彼を待ち続ける。
(今日は、来なかった…)
落胆。
それでも昼休みは終わり、いつもの様に午後の仕事が始まる。

「パソコン、買います」

10月ごろからずっと、電算室長にパソコン買わないか、と聞かれていた。
欲しいなあ、という気持ちはあったものの、いまいち踏み出せないでいた。
でも、チャットの人達と家でも話したいなあ。
それに…夜なら彼とも、もっとゆっくり話せるかもしれない。
ある日、営業部のプリンタの様子を見に来ていた電算室長に言った。
「パソコン、買います。」

そして、2人の本当の出会いを実現させた「魔法の箱」がうちに届いた。


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